ヨナ・キット イアン・ワトスン

著者の本の中では有名な奇書扱いの一冊。

まずクジラが会話していて、クジラの脳に人間を刷り込んでコンピュータになったりするのはともかく、宇宙背景放射を調査したら現実は幻だったとわかり、現実が崩壊するかもとか、銀河の衝突で消滅するとかで世界はパニックに、、いや何億年後の話?
そして著者の日本滞在の経験が活かされてミシマが言及されてるのがなんだと思ったら、宇宙の謎をクジラ集合コンピュータに入力したら、全世界のクジラが切腹始めましたという話。基本的には。。

確かに意味不明本扱いされるような内容だけど、個々の要素はそこまで変な話でもないし、結論もまあ変なデータを入れたらおかしなことが起きました?と思えなくもない。突飛ななアイデアを結びつける力業は凄いとは思う。
何が駄目なのかというとやはり長編小説ということで、登場人物の行動とか描写は必要ない上に完全に意味不明だし、物語もなんでこういう展開なのか。。細かいアイデアだけを読んでいると面白そうな事が書かれているのだが、やっぱりアイデア小説は短編にしておくべき。長編は小説になってないと読む方が辛すぎる。

あと、サンリオなので身構えていたが、意外に翻訳が普通で読めたのが救い。他にもスモッグに覆われた東京のタクシーとか、動物園の子供の黄色い帽子とかのディテールは良かったかな。