シャドー81 ルシアン ネイハム

今ではすっかり忘れ去られたが、昔は結構有名だった本、この本が衝撃波を乗り切れと同じ年に出てるのかと思うと驚くくらい現代的な小説で、舞台はベトナム戦争頃なのだがその辺変更すれば現代の新刊と言っても通用しそうな感じがする。まあ翻訳が古いけれど。

序盤はハイジャックものと聞いていたのに、何の話なのかという展開で面食らう。まあこの地味な展開の積み重ねがこの後のリアリティを支える下準備なのだが、この前半だけでもなかなか面白い。
そして肝心のハイジャックからはお約束な展開がありつつも凄く良くできていて、読んでいて本当に素晴らしい。肝心のハイジャック部分よりも周辺のコメディ展開が面白いというのも珍しいか、難点はこの面白い主題の中盤が案外短いところで、終盤に入るとその辺が弱いというか、まあ色々な意味でハラハラするのだが、あんまり最後の方は上手くまとまってない感じなのが微妙。

感想としては、冒険小説なスリラーとして全体に頭のいい小説で、読者の突っ込みに上手い形で回答してあって、舞台が現実的なところから離れてるとはいえ、ちゃんと現実的に考えてあるのが感じられるところが良いのか。
ただ、戦闘機のミサイル程度ではそんな威力ないとは思うが(笑