スローバード イアン・ワトスン

日本独自の短編集。それなりに選んでるベスト盤とのことだけど、やっぱりバカアイデアな内容が多めに集まってるような感じ。面白かったのは、

超低速時間移行機、著者らしいタイムトラベルSFで、この本の中で一番著者らしいと思うけど、落ちも著者らしいのが難。
知識のミルク、タイムトラベルとマルチバース人間原理で唯一世界にする話なんだけど、このアイデアはよく出来てる?かも。
バビロンの記憶、行き詰まった現代文明の問題を解決するために、紀元前のバビロンを再現するテーマパーク?と作るという壮大な社会実験?。
寒冷の女王、東西冷戦から互いに低温兵器で世界を凍結さえる戦争をしていたら、絶対零度を越えて相転移からのマイナス温度というのはちょっと珍しいアイデアかもだけど、、

全体になんというか間違いなくハードSFではないし、科学の知見でもなんでもないんだけど、70年台後半、SFの未来像とサイバーパンクでコンピュータの間の時代に凄い変な考え方を突き詰めた結果、独特の世界観を持ったという小説という感じ。

あとこの短編集、半分以上が80年台に書かれたものなのもあって、どんどんSF離れしてるのが解る。