ステイト・オブ・テラー ヒラリー・クリントン, ルイーズ・ペニー

よくあるアメリカと核テロとの戦いを書く話なのだけど、主人公が国務長官で舞台は2021年、トランプ後のアメリカというのが面白い。元大統領との合作の本より格段に面白いのは相方が良いからか、ヒラリーの方が旦那より有能だからか。とはいえ小説としては細かいところが気になったりつっこみどころもあるけど、勢いで流してる感は否めない。
ただヒラリーが書いてるのだからという謎のリアリティが存在するので、イラン、パキスタン、ロシアにその場で行くことに決めて直ぐに首相に会えたりとか、米国務長官だからってそれはないでしょと思うけど、いやそうなのかも?と思えてしまうのが凄い(笑

ただ現実世界のその後を考えると、この小説みたいにテロを阻止して背後にあった陰謀を暴いてはい終わり、、とならないのが辛いところで、やっぱこういう悪の組織?みたいなわかりやすい敵が居ないと小説として成り立たないのはわかるけど、本当にこうだったら良かったのにねと、トランプ2期が迫る今は思う所。

あと2021年から現在だとウクライナとか中東の問題が大きくて、今となっては爆弾とか核テロなんて小説のネタでしかないので、こういうのを楽しく読めた時代は逆に良かったのかも。このコンビで2024年か2025年を舞台にした続編書いてくれないかな、、

あと現実と比べて気になるところは、
・イラン核合意からの離脱が原因でとあるけど、今となっては懐かしいな位だし、イラン核合意を復活させてロシアから引き離すとあるけど、現実は真逆に進んでる感。
・悪役がパキスタン人なんだけど、最近は存在感が薄いというか、逆にインドがすっかりヤバイ国になってしまったので微妙な感じが。
・アフガン撤退をトランプのせいにするのは流石にどうなのかと、まあ時期的に執筆中にああなってしまったので直せなかったと言えばそうなのか、、そしてこれもパキスタンの陰謀ってことにしてるけど、この陰謀論の方が全然現実より良かったですね。
・トランプ再選のための陰謀がと言われても、いやあトランプは自分が目立てれば何でもOKくらいにしか思ってないのでは?陰謀巡らしてるほど真面目にやってないような、、そしてこの本のトランプはこんな感じ?と思うけど、これもヒラリーが書いてるんだからそうなんだなあ、、と思うしかない。

・ロシアのあれと会話してるけど、あれってこんなに会話が成り立つものなんでしたっけ、、でもヒラリー話したことありそうだしな。。