宇宙ヴァンパイアー コリン・ウィルソン

宇宙で謎の宇宙船を調査したらエイリアンを発見し、遺体を持ち帰ったら地球に宇宙ヴァンパイアーが放たれてしまった。。というB級SFでありがちな話なのだが、著者にかかるとこれが全然とんでもない方向に展開してしまうのだった(笑

この本はこれでも著者の主張は弱めというか、まあまあ普通小説みたいに話が進むので、比較的薄めに見えないことも無いが、ヴァンパイアイズムとか、例によっての人類の進化とか、やっぱりこんなテーマの本なのに、変に真面目に徹底的に書いてしまう著者は色々おかしい。もう本当に変な作家が書いた他に類を見ないという意味では凄い本で、こんなの誰にも真似できないだろう。例えば突然スウェーデン旅行して延々対話したりする下りとか、意味わからないけど異常なディテールで書かれてて本当なんでこうなってるのという感じ。

あと一応70年代の本なので、そこまで古くないはずだが、古典スペースオペラみたいな舞台装置なのはそういう演出か、単にSF科学に興味がないだけなのだろうが、エイリアン宇宙船の指令室に紙の宇宙地図が出て来て笑う。しかし人類の進歩は科学なのだとこんな話の中で言い切るのはどうなんだか。そういえば、宇宙船の青い光でカプリ島の岩屋の比喩が出てきて面白かった、あんな青色だったかねえ(笑