天界の眼 切れ者キューゲルの冒険 ジャック・ヴァンス

勿体ないので読まずに残していたヴァンス本の2冊目。
大昔はヒロイックファンタジー分類で紹介されていたシリーズなのだが、ファンタジーというよりヴァンス独特のSF世界だし、主人公の子悪党っぷりは大昔の小説みたいな感じで、これを今のファンタジー小説の元本で紹介するのはかなり違和感がある感じ。
連作中編なので遊びは少ないかと思っていたが、後半のいくつかは全然主題と関係ないところが多量に混じっていて、なんでまたこういう話を入れようと思ったのかと思うが、この脱線具合が著者らしくてその辺は期待通り。
とはいえメインの展開は皮肉が効きすぎていて、マグナス・リドルフ位がよかったかな。かなり荒削りなのが残念。