六つの航跡 ムア・ラファティ

巨大移民宇宙船で乗組員は全員クローンからの殺人事件という密室ミステリか?と期待させる冒頭から始まるのだが、なんか違うというか、そういうストーリーにならない展開で残念。

クローン再生で大人の体に記憶もバックアップ時点に復元可能な上に、DNA操作に加えて意識のバックアップを操作まで出来てしまうのだから何でもありなので、密室ミステリやるには色々制約が必要だと思うのだが、著者の興味はそういう所にないので動機も殺害方法もわりとあっさりしていて雑なんだよね。。この設定でクローン殺人やればもっと面白い話書けると思うんだが。

代わりにハイペリオン形式で乗組員の過去とかクローンがありになった社会とかが書かれるのだけど、これはこれでまあ面白いけど主人公が凄すぎて何でもありだし、登場人物の奥行きが違い過ぎて人によってこれだけ?という感じ。

あと意識の連続性についてはさっぱりしていて、記憶のバックアップから復元した人間というのはその前の人物とはある意味別人のような気がするけど、それでいいのか(笑、宗教的な考え方で?魂の有無が大事みたいだけどその辺がわからない感じだ。