コリーニ事件 フェルディナント・フォン・シーラッハ

この作者初の長編というのだが、この厚さと文字の間隔は中編位の分量しかない、しかしこのくらいの分量でも微妙な感じなので、短編向きだとわかる。
内容は殺人、法廷ものの体裁だがその辺は薄めで粗いので、ミステリの年間ベストに載るのはかなり納得行かないが、小説としては良い出来栄えだ。
短編ではないので、登場人物もそれなりに掘り下げられるのだが、その辺は意外に上手い感じでこういう描写をする作家だったのかと以外に感じる。
ただ、話はドイツのあっちのネタに行ってしまうので、そういうのに飽きていると厳しいか。
とはいえ現状、著者名だけで買える作家の一人だと思う。