中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 山谷 剛史

ワールドワイドウェブからの独立とまであるので、DNSレベルで分離したんだっけか?と一瞬疑ったがそんなことではなく、国内のサービスだけでまかなえるようになったので世界と独立したという話。
20年くらいの歴史を振り返る本なのだが、過去の歴史が現代に繋がるかというとそうでもないような、過去があったから現状があるというところが弱いような感じ。
思うのは、国内で満足してくれるならそれはそれで良いのだが、昨今は海外への攻撃というか活動が目立つので、あんまり独立している感じがしない。また、日本も欧米の人から見たら日本独自のサービスが強すぎて、かなり違和感を覚えるらしいので、それと対して変わらないような感じがしてしまう。もちろん検閲云々は無いのだが、普通の人にはさして関係ないのだから。
この本の主題はWEBからの独立とあるが、本当はそれよりも開かれたWEBで海外と繋がって民主化なんて幻想なんだよってところが言いたいところと思う。私も中国人と仕事して同感だと思っていて、金儲けは羨ましいことなのだが、西欧の民主主義が良いかというとそうでもないような現状で、今の体制に挑もうとか思わないのだろう。もっとも成長率が落ちてきたらどうなるかは解らないのだが、そうだとしてもあの人達は解決策が民主主義とは全く思っていなさそうである。
この本の世界はWEB屋さんとかスマホとかのITの世界だが、SI屋のITの世界で中国というのは非常に閉ざされた世界で、多分日本のSI屋で中国の大きな仕事を取りにいけてるところは殆ど無いのではないか。他の途上国案件と違って高いからではないのが理由で、もうそのへんはどうしようもない。あと、エンドユーザ向けのサービスの提案では既に日本より進んでいる面もあったりする。で、中国との仕事というのは相変わらずオフショア先という関係だが、それもあの単価ではもう限界を越えていて、そうなるとSIの世界でもそのうちに関係が無くなりそうだ。一応、日本の案件を取りに来る可能性もあるのだが、インドの時もそうだったが日本の優良な顧客、外資系なサービスをそのまま買ってくれるようなところはもう空きがなく、で日本独自の要求するところはあちらさんでも辟易のようなので、そういう意味で国内は安泰なのだった。。