スーパープログラマーは現実味があるのか

スーパープログラマーがいれば云々とか、下手プログラマ何十人分の価値があってとか、相変わらず見かけるが、これがそこそこ説得力があるのはプログラマという仕事の特殊さなのかなと思う。
例えばある程度肉体労働的な仕事で、1人で10人分なんてありえないけれど、コンピュータを活かせばそういう事が出来ると思えるからだ。
しかし現実のところ、特にスーパープログラマーが活躍できる範囲はSIという仕事の世界ではかなり限定的で、実際そう言われるような人はまずSIには来ない。来ても活躍できる場所がないと解っているからだろう。
こっちで必要とされるのは下手プログラマを数十人単位で束ねてなんとかするスーパーなリーダーであって、1人で10人分できたくらいでは全然足りないのだ。
ということから、SIの世界ではコンピュータを使う仕事だけれども人数に比例した仕事しか出来ないため、結局人月勝負となる。よくこの人月というのがよく馬鹿にされるのだが、この仕組はそれなりに根拠があって今でも続いているわけで、優れた代案があったらとっくに採用されているだろう。しかし現実はSIはX0年続いて終わる気配もないし、新しい提案というのも現実の前にはさして役に立たなかったというのが実際だ。ほんとうにこの業界はなんて変化に乏しい業界なのだろうとつくづく実感する。
もちろん新しい技術とかもあれこれ出てくるのであるが、結局昔からやることは変わらないし、変わる未来も見えない。なにしろ今の内容とさして変わらないSI終了ネタが書かれたのは1990年頃で、それ以来単語は変わるが何時ものオオカミ少年だったためだ。
話をスーパープログラマーに戻すと、例えば炎上案件の火消しに良いのではと考える人は前からいて、実際そういうのを見るのだが、この手の炎上案件で特定の部分だけ潰せばなんとかなるというのはかなり特定のケースでしかなくて、ダメな案件はそもそも全体的にダメなので、一部分だけ良くなっても効果がないために、やはりイマイチ効果がなく、それでいて最悪な環境の現場に放り込まれると例外なくみなさんやる気を無くしてしまうため、結局壊れにくい平均的な人間がここでも役に立つのであった。
そんな過去からの経験から、SEとかリーダーとかでなくSIとしてのスーパープログラマーというのは、平均な技量で良いので普通に仕事をこなせること、くらいではと思う。そんなの普通だと思うだろうが、実際のところ頭数が必要な案件を年単位でやると、普通な仕事を続けられる人間を集めるだけでも大変なことなのだ。
あとはまあ下手プログラマを平均まで引き上げるための仕組みとか、普通の仕事を仕方というのを数百人単位で浸透させる技術とか、やっぱり無理にスーパープログラマーの使いみちを考えるよりそっちのほうが効果があるだろう。