カルカッタ染色体 アミタヴ・ゴーシュ

普通小説だけどSFの賞を取った本。マラリア研究の歴史を絡めた虚実な展開が面白い。歴史上の事実を残したまま色々する本は沢山あるけど、この本のテーマと内容はかなり変わっていて、さらにインドでカルカッタなのもあって目新しい感じ。

ただクラーク賞を取ったし後書きでしつこいくらいにSF書いてるけど、これSFじゃないよね。モダンホラーというか、インドだけど昔の南米物とかのマジックリアリズムが近いのでは。科学の部分ほんの僅かなんだが。

あと小説として章ごとに登場人物と時間が切り替わりながら進むのだけど、細かすぎて一気に読んでないと何が起きたのか覚えていなくて難しい、隙間時間に読む本ではなかった。とはいえ普通に読んでも再読前提な本という印象。

全体に普通に読ませるし、翻訳も上手くてよい出来なのだが、終わりの方はもったいないというか、もうちょっとだけ書いて欲しかったが、結論を出す本でもないのでこれで良いのか。