へびつかい座ホットライン ジョン・ヴァーリイ

ヴァーリーの本は短編は全部読んでると思うけど、長編はあんまり読んでなくて、原因は評判が良くなかったからか、短編集は今でも買えるのに長編は全然翻訳されないまま数十年、続編すら訳されない状態。
懐かしの8世界物だが、今読んでもなかなか新しい感じがあって、この雰囲気は現代の作家でも出せてないと思う。この本では特にクローン人間が特徴的で、記憶も自意識もある自分自身が再生されて増えていくというのは確かに怖い。逆に何でもありで制約が難しい。ただ、著者でよく言われるディズニーランド感はこの本はではあんまりなくて、遊びが少ないというか、普通に物語が進んでいくのが他と違う。この頃は普通のSFを書こうとしてたのか、長編で話を進めようとするとこうなったのか。

この本については一応大昔にネタは知っていたので、宇宙人からの通信を無料で傍受してたら後から請求書が来ましたみたいな話とわかっていたのだが、実はこれで半分くらいだったのね。そこから先の展開が本筋で、これでどうなるのかという期待はあるものの、結局途中で終わってしまうというか、終わり方が弱いというか、これ続編前提?とも思えるところが難点。
なんというか長編としてのバランスが悪くて、特にこの世界観ではこの後からが重要なところなのに、それが書かれずに終わってるというのが勿体ない。
まあこの後の著者の本読んでいると、本来こういう未来史みたいなのに興味が無くて、この本は例外的に書かれた一冊という感じであるが、、